Received an honorable mention of Kyogashi design contest 2019 “Palm-sized Nature – Manyo-shu” in Kyoto, Japan

京菓子展「手のひらの自然 − 万葉集」2019

2019年京菓子デザイン公募展のテーマは「万葉集」。皆さまご存知の通り、新元号「令和」も万葉集を由来としていますが、茶席、和菓子と古典文学も大きな結びつきがあります。 このコンテストをきっかけに万葉集の世界をあらためて学ばせていただきました。

今回私が選んだのは、次の柿本人麻呂の和歌です。
「萬葉集」(巻七)1068

天の海に
雲の波立ち
月の船
星の林に
漕ぎ隠る見ゆ

歌意: 大空の海に雲の波がたって、月の船が、きらめく星の林の中に漕ぎ隠れてゆく。

歌が詠まれて、千年の時を越えた現代もなお、想像力をかきたてられ、壮大で瑞々しい情景イメージを生み出させる力のある歌。 この雄大でファンタジックな歌で、万葉集に引き込まれました。

菓銘は「天海」としました。

葛の、瑞々しさ透明感は海、波うつ表面は雲、気泡と金箔は星、黄の中あんは月と見立てました。そして、月に巻き付ける葛の帯で、無限である、天の壮大さを表現しました。この歌の背景は七夕伝説という解釈もありますが、このお菓子を食べる方が、 月の舟でどこに行くのか、誰に会いに行くのか、それぞれ想像をしながら食べていただきたいという想いでデザインをしました。

壮大でファンタジックな和歌を手のひらサイズの和菓子のデザインにおとしこむ作業はとても楽しく、いくつものデザインが浮かびあがりました。光栄なことに佳作に選出いただき、大変嬉しく思っております。関係者の皆さま、どうもありがとうございました。