こんにちは。いつもご訪問ありがとうございます。
和菓子の歴史は、神仏と深く結びついています。虎屋資料館の先生の歴史の授業で、門前菓子がいかに日本の文化と信仰に寄り添ってきたかを学びました。今回、その歴史を肌で感じるために、今宮神社の参道に立つ二軒の老舗を訪ねました。一和(いちわ)さんと、かざり屋(かざりや)さんです。


緑の癒やし、美しい空間でいただく「かざり屋」のあぶり餅


まず足を運んだのは、かざり屋さん。門前通りで、今宮神社に向かって、左手にあります。
暑い日差しが照りつける日でしたが、一歩店内に足を踏み入れると、そこは別世界。美しい緑のお庭を望む和室と縁側が広がり、季節の喧騒を忘れさせてくれるような、ほっとするひとときでした。

運ばれてきたのは、竹串に刺された愛らしいあぶり餅が11本ほど。きな粉をまぶし、香ばしくあぶられたお餅は、甘辛い白味噌ダレとの相性が抜群です。

数こそ多く見えますが、全体で切り餅一つ分くらいのボリュームでしょうか。

冷たいお茶と、お焦げの香ばしさ、白味噌ダレのやさしい甘みがよくあい、気づいたらあっという間に食べ終えていました。

お腹が満たされた後は、心を落ち着けて今宮神社をゆっくりとお参りしました。

立派な楼門。
境内は静かで、木々の間を抜ける風や鳥の声が心地よく、思わず深呼吸したくなるような穏やかな空気に包まれていました。

お参りのあと、御朱印を拝受しました。自分の手で印を押して仕上げるという少し珍しい形式。

ひと押しするたびに、この神社とのご縁をより深く感じる、心温まる体験となりました。
千年の時を繋ぐ、奇跡の老舗「一和」の職人技
そして、次に向かったのは、炙り餅で有名な、もう一軒の老舗、一和さんです。
一和さんの歴史は、ただの老舗という言葉では収まりません。

創業1000年以上の企業は、日本に20社あるかないかと言われていますが、一和さんはその貴重な一社なのです。文字通り、千年の時を超えて、変わらぬ味と営みを続けている、奇跡のようなお店です。

香ばしい焦げ色が食欲をそそるあぶり餅が、ほどなくして運ばれてきました。
12本から13本ほどの串が並んでいて、その香ばしさがたまりません。
ちょうど店先で、職人さんがお餅を焼いていらっしゃる姿を拝見することができました。真っ赤に燃える備長炭の炉の上で、束となったお餅を、手作業であぶる職人さん。本数が多いので大変そうです。

「暑い日ですから、大変ですね」と声をかけると、「そうですね。冬は冬で足元が寒いんですよ」と、穏やかな笑顔で返してくださいました。冬も路面で火を扱うという、その職人としての覚悟に頭が下がります。
「この仕事で、何が一番難しいですか?」と尋ねてみました。
すると、「備長炭は火力が強いですから、近すぎると竹串が燃えてしまいますし、遠すぎるとお餅に焼き色がつかないので、その火加減の調整が難しいんです」と教えてくださいました。
この道40年という、まさに神業とも言える職人さんの技と、その謙虚な姿勢に触れ、深い感謝の気持ちが湧き上がってきました。伝統の味と香ばしさは、この備長炭の持つ高い火力と、職人さんの絶妙な火のコントロールによって生まれているのですね。
今回の訪問を通して、和菓子は単なる「お菓子」ではないという思いを強くしました。
それは、日本の歴史そのものであり、人々の営みが連綿とつづいてきた証のようなものを感じました。
千年の時を繋ぎ、今、目の前で温かいお餅を提供してくれる職人さんの存在に心から感謝し、この尊い歴史を未来へ伝えていくことができれば嬉しいと思いました。
皆さまも、京都にお越しの際は、ぜひこの歴史の重みと、変わらぬ美味しさが詰まった「あぶり餅」を味わってみてください。
次回の和菓子のルーツをたどる旅もお楽しみに!
あぶり餅 一和(一文字屋 和輔)
- 名前: あぶり餅 一和(一文字屋 和輔)
- 住所: 〒603-8243 京都府京都市北区紫野今宮町69−69
- 電話番号: +81 75-492-6852
- 営業時間: 10:00~17:00
- 定休日: 水曜日
- 詳細情報: あぶり餅 一和(一文字屋 和輔
あぶり餅 本家 根元 かざりや
- 名前: あぶり餅 本家 根元 かざりや
- 住所: 〒603-8243 京都府京都市北区紫野今宮町96
- 電話番号: +81 75-491-9402
- 営業時間: 10:00~17:00
- 定休日: 水曜日
- 詳細情報: あぶり餅 本家 根元 かざり
Wagashi Studio
アメリカでオーダーメイドの和菓子作品の制作、オンライン和菓子教室やワークショップ、デモンストレーション、展示、レシピ提供などを行っています。著書「甘くてかわいい、食べられる宝石 琥珀糖のレシピ」 日本・台湾・香港にて上梓。
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