先般のシカゴ日本祭りで出会った、シカゴ在住のご夫婦がクリーブランドを訪問してくださいました。

奥様はマジパンアーティスト、ご主人は舞台俳優。シカゴ日本祭りの時は、「練り切り」のデモンストレーションを熱心に見てくださって、ご自身が作られているマジパンについても紹介をしてくださいました。

今回のクリーブランド訪問では、我が家にお越しいただきました。「練り切りを食べてみたい」というリクエストをいただいていたので、練り切りのデモンストレーションさせて頂き、実際に食べていただきました。また、「もち」もお好きということで、生八つ橋も食べていただきました。

練り切り 桜

練り切りは桜を作りました。中あんは、オレオとクリームチーズに。

八つ橋

そしてこちらは生八つ橋。中あんには、レモンあんとチョコレートあんをご用意しました。八つ橋生地のなめらかな触感は口の中はもちろん、手で触れた時の感触もなんとも言えないと、何度もおっしゃっていらっしゃいました。奥様はレモンあん、ご主人はチョコレートあんがお気に召したようです。

お出ししたお茶は、福岡の八女茶。低い温度でいれて、苦みのないまろやかな味に。普段は、ゴーヤー茶を愛飲しているというご夫婦、八女茶も美味しいと言ってくださいました。

そして、彼女が作っているマジパンの作り方もデモンストレーションして頂き、食べさせて頂きました。アーモンドペーストとコーンシロップの割合は「極秘」の割合なのだそうです。

マジパン Marzipan

マジパンを小さくまるめ、棒を使って穴をいくつかあけます。一目瞭然!かわいいミニミニじゃがいもです。

そして、筆でココアをまぶしていきます。

7歳の頃に御祖父さんから作り方を習ったというマジパン、この道60年以上ということで、手際よく、マジックのようにササっとかわいいじゃがいもが出来上がりました。

マジパン Marzipan

6つのジャガイモが出来上がりました!なんて可愛らしいのでしょう。出来たてのマジパンは、とってもやわらくて、舌の上でとろけます。アーモンドの味がとても美味しいです。

Bonny Marzipan

私の知っているマジパンは、日本でよくみられる誕生日ケーキやクリスマスケーキにデコレーションとして使われているものでしたが、彼女の作ったヨーロッパのレシピのマジパンはまったく違う味、食感でした。目からウロコとはまさにこのことだと思います。今までの認識を覆されるものでした。味はアーモンド、口の中でとろける感じは、練り切りに近いと思いました。

マジパンについて、あらためて調べてみたところ、、、

マジパンとは:マルチパン(独: Marzipan)またはマジパンは、スペインのトレドやラ・リオハ、ドイツのリューベックやシチリアのパレルモの名物として知られる洋菓子である。砂糖とアーモンドを挽いて練りあわせた、餡のような食感のある菓子で、独特の風味がある。wikipediaより抜粋

「餡のような食感」確かに、やわらかい餡に近いものでした。

そして、マジパンはチョコレートやシュトーレンの中身に使ったりするというのは、まさに和菓子の大福やおまんじゅうの中の「餡」と同じです。

さらに、お祝い品や、大晦日や復活祭にも使われるというマジパン、日々の生活や人生に密接に関わりのあるという点も和菓子と共通するものがあるんですね。とても興味深いです。

彼女のマジパンのデザインと、その作り方も色々と見せてもらったのですが、細工のために使っている道具もまた、練り切りや州浜作りに近いもので、これもまたオドロキました。

秋の実り-洲浜(すはま)

彼女にマジパンのカボチャを見せてもらった時に、私は上の写真を見せました。あ!似てる!お互い目を合わせて笑いました。こちらは、きな粉と水あめで作る州浜という干菓子ですが、マジパンはこの和菓子にもとても近いと思います。

そして、彼女のジャガイモを見せてもらった時に、「お芋も作るよ!」と、私はこちらのサツマイモを見せました。

ヨーロッパ発祥のマジパン、アメリカではあまり見かけないような気がします。かわるものは「フォンダン」といったところでしょうか。

かつての南蛮貿易でカステラや金平糖が日本へ入ってきたり、ヨーロッパへ輸出された焼き物の包装紙であった浮世絵がゴッホやモネに影響を与えたと言われているように、東と西の文化が行き交う中で影響を与えあってきたもののひとつがマジパンと練り切りなのかもしれない、などと考えたりする時、世界がつながりロマンを感じたりするのです。

「美しいもの」「かわいいもの」「美味しいもの」を求める心は、いつの時代も、国もかわらないものなのですね。